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メッセージ

グローバル化と「日本自動車殿堂」の使命 ロルフ・エクロート氏

 このたび、日本の自動車産業に貢献した先人の偉業を称え、これを後世に継承するために「日本自動車殿堂」が設立され、本格的な活動が開始されたことを、お慶び申し上げます。また、JAHFA誌上でこのような機会を与えていただき、関係者の皆様に深く感謝いたします。

 21世紀を迎え、現在日本を含めた世界の主要自動車メーカーは、国際的なアライアンス、またはパートナーシップというビジネスモデルを戦略的に推進しています。自動車産業のグローバル化は、自動車メーカーの辞書から「国境」という言葉をなくし、そのネットワークは網の目のように組織化されつつあります。

 国際的なアライアンス、またはパートナーシップにおいて、最も重視すべき点とは何でしょうか。ある人は生産システム、またある人は情報処理システムの共有と答えるかもしれません。しかし私にとって、ビジネスのグローバル化に最も不可欠なものは、成功に向けたビジョンの共有であると考えます。

 日本の自動車産業の歴史を振り返る時、そこには必ず先人の先進的・革新的ビジョンが存在します。これこそが日本の自動車産業躍進の原動力であり、現在グローバル化を迎えた自動車産業にとって、再度学ぶべき姿勢ではないでしょうか。

 世界の自動車産業が大きな転換期を迎える今こそ、日本の自動車産業を牽引したビジョンを歴史的な観点から今一度正しく評価し、その資産を次代に向けて継承していくことこそ、日本の自動車産業の更なる発展に不可欠であると、私は確信しています。その意味で「日本自動車殿堂」の活動は、必ずや重要な社会的意義と役割を担うことと期待しております。
(2002年『JAHFA No.2』収録)

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