トップページメッセージ日本自動車殿堂の設立1周年に寄せて 張 富士夫氏

メッセージ

日本自動車殿堂の設立1周年に寄せて 張 富士夫氏

 自動車業界は今日グローバルなメガ・コンペティションの時代に入っており、製品をめぐる市場競争と同時に、次世代技術の開発競争が業界再編まで含め、激化しております。

 自動車メーカーにとって極めて厳しい時代でありますが、私達が競うことに取り組む背景には地球規模でのモータリゼーションの時代が到来するのはこれから、という思いがあるからです。

 世界には未だ自動車の恩恵を享受していない地域や人々は多く、これらの市場が世界の自動車メーカーの前に未開拓のフィールドとして広がっていますし、一方自動車先進国といわれる国々においても、常に新たな技術やコンセプトを持ったクルマの登場が待望されており、まだまだ需要の拡大が期待できます。

 すなわち自動車市場は「飽和市場」などではなく、新たな成長に向けて前途は大きく広がっているものと思っております。

 そしてこの成長の鍵は、走る魅力に代表されるクルマの楽しさを追求するとともに、時代要請に応え、安全、環境にかかる性能を革新するところにあると私達は信じており、今後とも世界の人々が自動車という偉大な発明品の恩恵に浴することができるよう、知恵と創意をその開発に注いで行きます。

 しかし、このクルマとともにある今日の社会の持続的発展、さらなるモータリゼーションのためには、私達だけではなく、次世代を担う若い人達が、クルマへの夢を持ち、新しいクルマを創ること、そしてそのクルマを世界の人に広げることに喜びを感じ、ひたむきに前進してくれることが必要です。

 日本自動車殿堂が、こうした人達のクルマへの興味を深め、自動車技術そして自動車産業に対する理解を広げることにいっそう活躍されることを、心より期待いたしております。
(2002年『JAHFA No.2』収録)

Copyright(C) 2001-2014 JAHFA All Rights Reserved.