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運転技術のすすめ 三角 哲生氏

 もう20年近く前のことになるが、杉浦英男本田技研会長(当時)と旧制高等学校同窓の御縁で国際交通安全学会の理事となり、茅誠司会長の下での学会の活発な事業活動に触れ、また、これに携わる広範囲な分野にわたる多くの優れた学会員の方々と知り合うことが出来た(小口泰平教授もそのお一人である)。私のような門外漢とも親しく付き合って下さる会員の研究活動を少しでも良く理解するために、自動車の運転を知らなければならないと感じ、免許取得に挑戦することにした。

 学会で紹介してもらった尾久自動車学校は、実に立派な教育を行っていた。生徒達は、二輪車あるいは自動車の運転をはやく覚えたいのと、かなりの授業料を出しているのとで、一所懸命である。先生は、人の生命に関わる操縦技術(実学)と法令(座学)を授ける立場に在って、真剣な指導をしておられる。世の中の一般の学校とは大違いで、本当の教育のあるべき姿、原点というべきものが見られると思った。

 教習は、実に有益で面白かった。教員室で、仮免に失敗した若者を呼び入れて、失敗の理由を指摘し、懇切丁寧に指導する先生を見た。

 逆に、順調に試験をパスする者については、後で事故のないよう、もう1~2単位分仕上げの指導をしたいが、制度上許されないので仕方がないとのことであった。免許を得た後、先生が同乗して下さって、相模湖まで高速道路走行の実習もして頂いた。塩地茂生校長は、学習の感想をまとめてほしいと云われた。老年生徒の苦労談があると思われたか。自分でも、素晴らしい指導、その貴重な体験を毎回のメモを基にまとめたいと思っていたが、果たしていない。

 すべての人が、良い指導の下に免許を取得し、運転者としても歩行者としても、交通道徳とマナーをしっかり身につけることが安全で平穏な社会生活のために望ましいことである。
(2002年『JAHFA No.2』収録)

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