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非凡な才能と業績は、後世まで伝承されるべきである ルイス・ブース氏

 特に優れ、非凡な才能を発揮し、偉大な業績を成し遂げた人達は、次世代を担うべき人々の、模範として尊敬され、人々の記憶に永く残され、後世にまで深い影響を及ぼすだけの、大きな価値を有している。

 企業業務のなかで、今やチームワークの良さだけが、効率を高め成果を上げる手段と思い込む傾向にある。それは一面の事実ではあるが、日本の自動車産業の歴史を概観すると、節目や折々に並外れた人物が現れ、大胆かつ積極性と度胸の良さで、普通の場合なら、ひるんでしまう局面にも、根気よく敢然と取り組み、それまで思いもしなかった大きな成果を残している。

 現在、世界に名を知られる程の、大きな自動車企業を築き上げた人達は、40歳台の若さでことを始めている。今や彼等のファミリーネームは、世界の一流ブランドとして浸透しているが、半面で彼等の労苦や努力、周辺でそれを支えた人々を含む苦闘の足跡は、世間には殆ど知られていない。

 彼等のことを私達は英語でこう呼ぶ、“unsung heroes”と。その意味は「謳われることのないヒーローたち」。本来なら日本の自動車産業において、もっと褒め讃えられて然るべき、多くの英雄達のことである。何れも創業者だけとは限らない、この国のエンジニアリング・フィールドには、多くの優れた才能を見出す事ができる。その「革新者」達の業績の成果は、自動車だけでなく、周辺で製造に携わる分野の技術開発にも波及し、多くの面に影響を与え、産業の裾野を肥やしてきた。これも忘れてはならないことである。

 日本自動車殿堂の責務は、こうした意味で極めて重要である。我々の産業は、あまねくこの活動を激励し、日本の自動車界のパイオニア達の業績を、改めて日本人に知らしめ、世界に問うという本来の役目を果たして欲しい。

 マツダは先駆者から受け継いだスピリットを、とても大事にしている。革新的な技術と、それに取組む勇気をコアとする哲学である、その一つがロータリー・エンジン・テクノロジー。2003年、新世代ロータリー、レネシス・エンジン搭載の、革新的ニュー・スポーツカー「RX-8」が誕生する。

 日本の自動車は、“affordability”(入手のしやすさと手頃な価格)を特色として海外進出に成功し、その上に“reliability”(信頼性)によってその地位を高めてきた。この先、更なる発展をするためには、技術開発と独創的なデザインが重要。私は日本自動車殿堂が伝える英雄達の事蹟に、触発され育った多くの豊かな才能に、これから先、会うであろうことを楽しみにしている。
(2002年『JAHFA No.2』収録)

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