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メッセージ

「日本自動車殿堂」活動に思う 渡邉 恵夫氏

「日本自動車殿堂」の設立とその活動は、日本の自動車産業や自動車関連産業の今後の発展に非常に有意義なことと思っております。その初代殿堂入りに、当社の創業者石橋正二郎を選出して頂いたことは、大変名誉なことであり、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 当社創業の基盤は、石橋正二郎の家業であった足袋業から地下足袋を発明したことにあり、その事業は成功を収めておりました。しかしながら、石橋正二郎はその成功に満足せず、「日本人の資本で、日本人の技術によるタイヤの国産化」という、当時では困難と思われた事業に挑戦していきました。後年、石橋正二郎は当時を振り返り「幼稚ながらも外国の指導を受けず、独自の研究によって技術を築き上げたわけである。私も素人ながら、この苦難によって心血を注ぎ技術に専念したので、技術上の知識を深めることができ、今日からみればその苦労はむしろ有益であったと思う」と語っております。

 このように技術の進歩は飽くなきチャレンジ精神と苦難から生み出されます。当社も、そういった精神を受け継ぐことにより、技術立国としての日本の発展の一端を担っていければと考えています。現在、当社では、タイヤにとって非常に過酷な条件で使用されるF1タイヤの開発や、未来のタイヤ技術であるランフラットタイヤや超偏平トラックタイヤの開発などを行っており、今後も社会のニーズを先取りした技術開発に挑戦していきたいと思っております。

 最後になりますが、今まで日本を支えてきた技術力は、今後も世界トップレベルであるべきで、そうでなければ日本をはじめとする世界の発展はないと考えます。その意味でも、次世代を担う青少年たちに技術立国の使命感を抱かせる「日本自動車殿堂」の活動は今後も重要であり、期待をしておりますと同時に益々のご発展を祈念しております。
(2002年『JAHFA No.2』収録)

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